最近の配当利回り状況はこんな感じ
まず、配当利回りを簡単に。例えば、配当利回りが3%の株を1000円で購入したとしましょう。すると、預金金利みたいに、配当金が30円もらえるわけです。その会社が配当を払い続ければ、毎年それがもらえるってわけ。かなり簡略化した説明ですけど、ザックリ言うとこんな感じ。
最近はゼロ金利時代だからか、昔ほど配当利回りが高い銘柄は多くありません。高くて5%くらいなもの。4%はそこそこあり、3%のところは結構多いって感じです。ゼロ金利時代、そんなおいしい投資対象はなかなかないってことですかね。
配当金が投資の利回りを引き上げる
「株式投資の未来」という有名な本で説明されていたことです。例えば、さっきみたいに3%の配当利回りの株を買ったとしましょう。その株は、一年間で3%下落しました。
でも、配当金があるので、実質的な利回りはマイナスになりません。これもザックリした例ですけど、配当にはこういう威力があるってわけです。
避けられない株価の変動というもの
市場に流通する株を買った以上は、株価の変動は避けられません。悪いニュースがあれば一気に下落することもあるし、期待感だけでどんどん上がることもある。この辺は、誰にも予測ができない、不確実性が強い要素です。
株価は、たいした理由もなしに上がったり下がったりするこも多い代物。その中で優秀な投資成績を残すには、「たまたま」に賭けるか、どこかで勝率の高い勝負どころを見付けるしかないってところ。
確実性を求めて配当金を手に入れる
「使える!確率的思考」という本によれば、株価の変動は不確実性が強く、配当金は確実性が高いとのこと。不確実性の強い株価の動きだけに資金を投じるのは、ギャンブル要素の強い「投機」。配当は確実性がそこそこあるので、配当を重視して資金を投じるのは「投資」と分類できると。
配当金は意外と重視されていない?
「株の勝ち方」みたいな胡散臭い(すみません)本には、「チャートはこう見れば勝てる!」という手法が多く掲載されている。それはなぜか?それは、株価の動きのほうが、投資家に莫大な利益をもたらす可能性があるから。単純に言えば、「派手だから」です。
本は、売れてこそ売る意味がある。商品ですから。だから、派手な題材のほうがいい。「株で2000万円儲けました!」みたいなエピソードのほうが、「配当金で堅実に預金金利を上回り続けています」みたいな地味なエピソードよりも心に響くので、売れる可能性が高い。
証券会社からしても、ほとんど売買しないお客さんよりも、頻繁に売買して手数料をガンガン落としてくれるお客さんのほうが「良いお客さん」なので、セミナーでそういうことを吹き込んだりもする。
株の利回りに夢を見ないで
株は、宝くじみたいなもの。そう思っている人も少なくはない。まあ、そういう側面もあるので、全否定はできません。ただ、「そういう要素しかない」というのは勘違いでしかないってわけです。
投資家にとって、年間の利回りが10%でもなかなか優秀なレベルのはず。「株価が倍に!」なんていうのは、宝くじでしかないんですよ。株の平均利回りは、そんなに高いものじゃない。
「株式投資の未来」で紹介されていた実際の利回りでも、8%とかだったはず。そして、「敗者のゲーム」という本によれば、いつかは平均に回帰すると。
配当利回りを重視した投資は地味
でも、利回り8%なんて、地味でしかない。配当を意識すると、結局は長期投資が基本になるし、分散を行う人も多くなるので、そこまで莫大な利益を得ることは滅多にない。まあ、もともと滅多にないことなんですが。
ちなみに、「株の平均利回りは8%」みたいな数字は、株価の動きと、配当を考慮したもの。配当は、利回りを押し上げる。それなら、3%とか4%の配当を意識して受け取る投資は、かなり有効な戦略と考えることもできるってわけです。
地味な戦略こそが堅実な投資と言えるかも
不確実性にまかせ、宝くじを待っているのも、別にいい。たまたま当たれば、「株でめっちゃ儲かった!」という自慢話もできるわけで。
でも、実際の株の平均利回りを考えると、株価の動きばっかり考えていないで、配当金を考慮することがどれだけ大事かがわかると思います。「一発」を狙ってなかなか結果が出ていないなら、「堅実な株式投資」を身に付けてもいいんじゃないでしょうか。